ちょうどいいものを知っている/中山 マキ
 






地面が腫れるから
迷子になって
肝心な時に尻込みするから
奇妙な洋服を着ていても
目立てない

いつもの と片手を挙げる
少しだけ非日常の感覚も
見慣れた頃にはきっと肯定する

丁度いい時に会う日の約束は
今日生まれたあなたの特権
夜をカラフルに彩る
踵に羽が生えたハイヒールも
素敵だねという左手も

ちょうどいいものを知っている
物事の角度って
無意識の内に感じている

髪を染めて、爪を染めて
煙草を1本点して
何度も何度も
息を吸う
言えない言葉を吐き出すために

そうやって
ちょうどいい僕は
ちょうどいい僕を知って行く





戻る   Point(2)