睡夢 / ****'04/小野 一縷
黒い水晶の森を 黒曜石の渓谷を
吹き抜けて 暗がりの新緑を 震わす風
やがて透明に 純化されてしまう 花粉を
雪の結晶のように鋭利に 纏った有害な
棘ある風 絶えない夜
暖かくして おやすみなさい
きみがまだ 眠っている頃
路上で 白い息吐く走者と 陽の光とが 共に輝き
夜から朝へ 変成 移行する
事象と因果が 交錯する 時が訪れる
密猟者の醒めた眼で待つ
ペンという 銃を構え 前後の照準を合わせ
瞬間 言葉で素描する 始まりと終わりの溶解を
ただ
もう分かっている
多くは繋がってしまうこと
多くは変わってしまうこと
多くは虚ろだ
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