虹砕ける午後 / ****'04/小野 一縷
一昨日 蒼が過ぎる空の下で
随分と酷く滑稽な光景
轢かれた猫の死体 朝の冷たい路上
それを拾い上げ 持ち去る精神異常者
・・丁度きっと何かを祈りたい気分だったのだろう
昨日 大空の下で 呟いていた
何を呟いていたのか 自分にも解らない
もう少しで2時だ
・・14時のほうがしっくりくる
・・工場勤めが 長かったから
今日 ありがちな空色の空の下
ピアノの音が遠くから ぼんやり聞こえる
二つ三つの旋律を 反復している
庭の緑が 風に戦ぐ
雲 静か
陽光が涼しく頬を照らす
虹色に放熱する太陽を 私は見つけた
絵に描いたような 平穏の中に
この部屋の中心で 頭蓋が静かに締められる
ゆっくり ゆらり 回りだす
黒く広い瞳孔の 深くに映る
白金の 水溜りに張り付いた 震える水面
煌めき と 脈動
それらが立てる 揺れ から生まれる
この温もりを
もう 懐かしいとは思わない
もう 真新しいとも思わない
ただ
ここに 私の精神が
今 佇んでいる
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