平凡 / ****'04/小野 一縷
ぼくが平凡に飽いて 随分と時が経つ
青空は決して
何処までも 広がってはいない
何処にでも 広がってはいない
その空の下に 血が流れる戦地に於いて
青は益々 その純度を輝かせる
冷たい石の国
地を這う白煙の斑蛇が
血の涎を垂らす野獣が引く戦車を
運命られた軌跡で 追い従う
爆音
木霊 耳鳴り 眩暈 嗚咽 吐気
白金の針の尖端の塵になって散れ
ぼくに戦友はいない
皆 敵だ
黒い瞳の義眼を外して
青い瞳の義眼を唾で濡らして 左の空洞に入れる
戦場に横たわる黒い大河が泣いている
濁った赤で汚されて
弾丸約五発 幸運であれば一発で 一人死
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