新しい家族 /服部 剛
 
深夜一時すぎ 
スタンドの灯の下に 
原稿用紙を広げ 
私は夢の言葉を刻んでいる 

傍らの布団に 
聖母の面影で 
幸せそうに瞳を閉じる 
身ごもった妻よ 

バッヘルベルのカノンを聴きながら 
胎児と共に夢を見よ 

「今朝の産婦人科で、小さいモノク 
 ロ画面から5cmの胎児は僕等に 
 向けて、形の無い手をふっていた。」 

私は明日の夜 
あなたの老いた父親に 
目と目を合わせ、打ち明けよう。 

草原の間に 
曲がって空の彼方へ伸びる道に 
家族として並ぶ僕等の 
新たな旅の幕開けを 






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