走る者として / ****'91/小野 一縷
もしそれが 性急で短命な安息だろうと
たとえそれが 如何わしい行為と呼ばれようと
決してそれが 確保不能の妄想だろうと
それがぼくにとっての真実ならば
多くのものを犠牲にしても 追い求めることだろう
見失って 手放して 見捨てられ 放られて
大事に守っていたものが 体中から
はらはら剥がれ落ちてゆく
乞食よろしく みすぼらしい風体のまま
ぼくは先へと歩みを進める
ぼくは追いかけてる
ぼくは近づいてる
ぼくは掴んでやる
その正体を
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