沈黙についてのメモ/葉月二兎
 
るのは目を瞑ることではなく、ただ「眼差す」こと。その光景を、イメージを、「シ」を、ただ否定するでも、語りえぬ得ぬこととして否定することでも(肯定することでも)なしに。


―――そこに生きているのはただ二つの点――彼の二つの目――
      そして沈黙                               (マリオ・ルーツィ)


―――《祈れ》と言う、《沈める町のために》…… (マリオ・ルーツィ)

祈りを向けること。そして、「眼差し」とはまた贈与でもある。
この私の眼、身体そのものを。そして主の、この身の血がまたあなたにも巡ることを祈るように、
私は沈黙をそのままに、「眼差し」を手向ける。


―――あなたにあげよう
     灰燼と天空のまま 所有していたものを、
     ことばにみちたこの脇腹を
     沈黙のこの脇腹を               (ガブリエラ・ミストラル)

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