走れ、走り続ける。/ブライアン
タイムを読み上げる女子マネージャーの声が聞こえる。ラストです、と声を張る。スピードを上げる。息があがる。白線。彼女の読み上げるタイム。ゴールした瞬間、座り込む。もう立ち上がれない、と。それでも、白線を越えて走り続けなければいけなかった。ゴールなどはないのだから。
なあ、ここはどこだろう。そうだなあ、満員電車が見えるよ。酔っ払いも。そいつがさ、えらく絡んでくるんだ。あいつはどこの駅で降りたんだろう。急行に乗りっぱなしだったから、ずいぶん遠いのかなあ。それとも近くの高級住宅街の並ぶ駅だったのかな。もうすぐ、ああなるよ。なりたいもんだよ。セカンドバック。禿げたら鬘、頭に乗っけてさ、なんだ
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