北の町 / ****年不明/小野 一縷
今朝は寒かった
故郷の朝を思い出した
近づいては遠ざかる 除雪車の排気音 タイヤチェーンの音
サカモトさんと うちのとっちゃがやっている 雪かきの音
屋根からの小さな雪崩が サッシと襖を揺らす音
けたたましく時計が鳴る前に よくそんな音で目を覚ました
だけど
冷えきった部屋に布団から這い出すには もう一つ
かっちゃかばっちゃの声が必要だった
「おぎへー」
どんなに雪が降っても 学校に遅刻することはなかった
今は天気がなんだろうと関係ない よく遅刻している
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