嘆く背に桜前線の風が吹くように/たちばなまこと
嘆こう
いつか早朝のラジオで聴いたんだ
「前半しっかりと絶望すること。
それが復活や飛躍への、ステップになるのです」
私たちの脳は生きるために
絶望と絶頂を繰り返す
友だちが教えてくれたんだ
「動悸がするのはね、本能で、
いつでも逃げられる準備を、体がしているからなんだって。
だから私、
自分の体がちゃんと機能しているんだって思ったら、
少し安心したよ」
大きな船が揺れて
人の波になって7時間
夜中まで歩いた
翌朝
太陽を浴びて
『ふるさと』を口ずさんだ
気弱な母親が気休めに
「ママがきみを守るからね」と言う
4歳の笑顔は
「ちがうよ
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