雪の照り返すこと???黒崎立体 “平川綾真智「胎児」について”/葉月二兎
 
それが「私」がこれまで、自らの家族に反発を覚えて生きてきたとしても、
それは「私」にとっては間違いなく「誕生日」に他ならない。

胎児が、母親の腹を蹴跳ばすこと。このように家族という存在は時に心を、内側から殴ってくる。
だがそれは雪が太陽の光を照り返すように痛ましくも美しくも、光の暖かさが雪をまた空へと返してゆく、
そうした姿でもある。

背中を向けても、どれだけ距離を置いても、家族を完全に捨て去ることは難しい。
だが雪が空の冷たさによってしか生み出されないように、雪はまた空の光の暖かさによってしか、
その結晶の美しさを表し、また昇華させることができない……一方で、それは暴力的な関係でもある。
すなわち、そのように“でしか”表させざるを得ない関係であるということでもある。

だがこの雪の結晶が光を照り返すこと。それは雪が光を乱反射する白い暴力であるが、
だからこそその内には、もっとも遠くもっとも近い暖かさと美しさがある。

雪の結晶が光を照り返すこと。
それは雪の、あまりにも痛ましく、美しい姿である。

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