マーチ / ****年不明/小野 一縷
海原をぎらつかせ 燃えている タンカー
空をぬるぬると鈍らせる 採掘場は炎の上
砂漠の皮膜を滑るように撫でるのは
水汲みの女 干乾びず 永い時間をかけて染み込む
水滴の艶 丸み なんて美しい女性
ターバンの似合う 砂焼けした硬い肌
乾いた男の咽喉に滑るように迷い込む
美しい彼女には 逞しい男をあてがいたい
そうしたい そうしたいって いってるのに
打ってくる 内側から打ってくる マーチ
行進が止まないんだ
劣情を沸騰させる 胸騒ぎのマーチング
完璧に 作り上げた この妄想を食いに来る
無用心な悲惨を内包して
崩壊したソヴィエト
ああ お陰で怯えの対
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