二の丸公園にて/モリー
梅の花の香りを嗅ごうと
背伸びする私を視ずに
君は宙を眺めてる
白いワイシャツ姿の
君の周りだけ
特別に星が飛んでる
君の傍で季節を感じたかったし
まだ知らない景色を
穏やかな気持ちで見たかった
啖呵を切った誓いすら
努めぬまま、
拒絶されてしまった
―君がため春の野に出でて若菜つむ
雪の降る冬と梅の散る春
君と向き合ったつもりの、時間
熊本城には土筆だって生えるのね
明るく振る舞う私に
「ツクシは鳥だと思ってたよ」と
おどけてみせる真意を
私は、ちゃんと見抜いてる
―わが衣手に雪は降りつつ
今は涙で濡れるのよと
ため息混じりで呟いてみても
君は聞こえないふりをしてる
十七の私は確かに
異性の君に、恋をしていた
梅が散って
土筆が揺れてる
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