晴れた朝と洗濯物と/涙(ルイ)
機に放り込む
カップ一杯分の洗剤が健気にも
せっせせっせと汚れを落としてゆく
ぐるぐるぐるぐる ぐるぐるぐるぐる
汗染み ほこり 食べこぼし
何もかもなかったことのように
まっさらさらに落としてゆく
目に見える汚れは洗剤で落せるけれど
心についた悲しみというしみは
どうやって落せばいいのだろう
外は憎たらしいほど青々とした空が広がっている
3月の少し冷たい風になびくまっさらさらな洗濯物は
かすかに洗剤の香りを漂わせている
生きることは汚れていくことなんだと
そういえばどこかの誰かさんがそんなこと云ってたっけ
漂白さ
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