「批評祭参加作品」 theピーズ/竜門勇気
 
消えていこうとしたハルと、不条理な理由でバンドから追い出された人。

ハルのヒリヒリした痛みと不思議な爽快感すら覚える諦めに満ちた詞は
言葉は後悔と孤独を含んだまま鋭く研ぎ澄まされ
砕け散りそうに儚く輝いている。

“なんでも治すという薬などないけどよ あるとして 飲まないさ”
(ておくれか)

このセンスはすごいと思う。この短いセンテンスで
(ないけど) (あるとして)(のまない)と思考は錐揉みして
なおかつさり気なくせっかく(あることにした)何でも治す薬を飲まないといっている。
何故だろう、何故飲まないのか。
この後の歌詞は
“無茶のネタも切れた”だ。

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