【批評祭参加作品】空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集/石川敬大
 
」のもつ楽しさと怖さを「魔法」という言葉で束ねてあり、的確に捉えているといえます。

 後半は母親をテーマにした詩を並べていますが、どれも心を打ちます。なぜ心を打つのかといえば、これらの詩が率直に真摯に表現されている分、詩が言葉だけで完結してしまわずに、表現に実人生が直結している点でしょう。『誕生日』という詩を引用してみましょう。


  誕生日

 小さいころは いつも手を引いてもらったのに
 いつのまにか その手を拒み 避けてきた

 「産んでくれなんて 頼んでない」
 勢い余って そう言ったとき 泣き崩れた母

 きょうは わたしの誕生日
 それは あなたが母にな
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