【批評祭参加作品】空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集/石川敬大
本の最後に収められているエッセイ『詩の力 場の力』もまたとても示唆に富んだ文章でした。受刑者に詩を書いてもらい朗読をし合評するのですが、作者は驚きます。「誰ひとりとして、否定的なことを言わない」し、「相手のいいところを見つけよう、自分が共感できるところを見つけようとして発言する」というのです。それは、「刑務所の先生方が」「彼らのありのままの姿を認め、それを受けいれているというメッセージを発信し続けていらっしゃる」その日常的な在りようが自然と醸しだされてくる雰囲気になっているというのです。
また、自作の詩を朗読する仲間の姿に「耳を澄まし、心を澄ます。ふだんのおしゃべりとは違う次元の
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