【批評祭参加作品】まど・みちおの戦争協力詩/石川敬大
 
 終戦(敗戦)記念日であった8月15日の西日本新聞朝刊1面の「春秋」欄に、まど・みちおの戦争協力詩の話題が書いてあった。テレビのドキュメンタリー番組を観ての感想みたいだから、観られた方もいるかもしれない。

 33歳で出征したまどは、南方戦線を転戦してシンガポールで終戦を知ったとき、陸軍伍長だった。その出征前に戦争協力詩を書いたらしいのだが「書いたという意識も記憶もな」く、全詩集を出す際にその事実を知らされたという。部分引用だろうが、次のような詩だった。


  今こそ君らも
  君らの敵にむかえ
  石にかじりついても
  その敵をうちたおせ

          「はるかな
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