奥にある緑/中山 マキ
 



帳尻の合わない偶然に
喜べないのは当然
時効を信じながら
罪を犯すような
不確かな世界神話

目を細めようにも
ほっと出来ない垣根に
邪魔された隣人との
奇妙な空間は
なんて人込みに近い と思う

とは言え
ストイックなわりに
何処か場当たり過ぎる
献身的な人口増加が
ぼくたちを育んだ

奥にある緑は
手が届かない幻のように
額縁に入れられて
満員電車に
揺れている

ありがとう
ありがとう
と、何回言えば
誰か振り向いて
笑うか 怪訝そうに

揺れて行くのは
僕だけじゃないと
東京は
孤独じゃないと
立派な政治家は言うはずだ
綺麗なお姉さんに囲まれて




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