【批評祭参加作品】石原吉郎の可能性 ー石原吉郎試論ー/石川敬大
吉原幸子が亡くなってもう何年になるだろう。その吉原と近しい間柄だった石原吉郎が亡くなってからでもすでに三十年が過ぎた。一年がとても早く、時代の移ろいのスピードが加速度的に年々増してきている気がする。そんな現代にあって、石原吉郎とはどんな意味を有する存在であったのだろう。とはいってもいまは、確かに急速に色あせ遠ざけられ忘れ去られてゆく存在でしかないように見える。しかしこの先どこかの時代の曲がり角で、例えば中原中也や宮沢賢治、金子光晴のように恒常的な復活を果たすかもしれないのである。それだけの資質を持っていた詩人で、このまま忘れ去られる存在ではなく、いまは一時的にこの世の舞台から楽屋に引っ込んで出番
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