永久ギターと星の猫/kawa
 
 仕事が長びいて、いつもより幾本か遅れたバスで帰った。停留所に降り立ち、息をつく。
 星の綺麗な夜だった。
 家までは、徒歩で小一時間かかる。歯が抜けそうに田舎なのだ。歩きながら、見上げた樹々の狭間に、おおくま座がすっきりと見えた。七つの星の、下から二つ目は二重星だ。四等星のアルコルと、二等星のミザルが、ほとんど重なっている。見かけるたび、眼を細めるのだけど、双眼鏡なしに見分けたことはない。過去の光。
 じゃりじゃりと、山道を踏みしめる音が響く。夏の終りで秋のはじまり、ちょうど境の夜には、闇が冴える。そして大気は冷たく香り、何となく、子どもの頃を思い出させる。
 もうすぐ山を抜ける、といっ
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