俺は今夜もこの街並みを泳いでゆく/洋輔
アスファルトを切りつけるタイヤの音
冷めた顔でさ迷う人波
今夜も街は安定を求めて
声にならない叫びを上げる
木は木に人は人に見えるのなら
ヒトは哲学なんていらない
腐った目をよみがえらせるため
人生を語るのに必死なんだぜ
俺が求めているのは調和じゃなく
タバコの煙に消え入りそうな危うさ
俺は今夜もこの街並みを
泳いでゆくのさ
Barでは陽気なJazzが流れて
酔えば説法も鼻につかない
今夜も街は刺激を求めて
サマにならない踊りに耽る
星が風が啼く声が聴こえるなら
ヒトは言葉なんていらない
つまった耳を解放するため
感動を呼ぶのに必死なんだぜ
俺が求めているのは安堵じゃなく
スネアの乾いた音のような潔さ
俺は今夜もこの街並みを
泳いでゆくのさ
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