潮の岬 2011/たま
手のひらの小窓にあなたから写真がとどく。
風にあおられた火が波のように打ち寄せる深い
闇のなかにわたしたちが暮らす岸辺があるみた
いですね。
怖くもあり、それが真実の勇気であるようにも
思えます。火ってふしぎですね。
春がやってくるまえに冬枯れた岬の芝は焼き払
われる。一月のなんでもない空がてっぺんから
翳りはじめて果てしない海の地平が淡いオレン
ジ色に滲むころ、人びとは火を手にして集まっ
てくる。
深い闇のなかの岸辺ですか。
そうかもしれないわね。そこにあって、未来と
いうより今を生きる勇気を持ちたいなぁって思
うの。
たどり着いたらもう、そ
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