横須賀の港でぼくは猫にうんざりしていた/石川敬大
を建てたけれど
ぼくが出ていった
Kの実家の土地だったから
横須賀に住んだ
京浜急行で通勤した
イージス艦だか駆逐艦が民間人の目を灰色に拒絶していた
港にも酒場にもМPと日本人の娘と米国軍人がたくさんいた
夜の繁華街を赤ら面で歩いていた
カタコト英語で黒人と語りあったことがある
母国や家族とはなれてさびしいとかれは泣いた
ぼくもここではひとりだった
横須賀の港にも
のら猫がたくさんいた
でも
もうぼくは
どんな猫にもうんざりしていた
戻る 編 削 Point(17)