横須賀の港でぼくは猫にうんざりしていた/石川敬大
猫のようなKといると
ぼくの言葉の文脈は乱れふあんな小波が打ちよせてきて
とても平叙文ではいられなかった
煎じつめれば
煎じつめなくても
Kは妻で
Kは猫だった
といっても
家事一切をしないという意味ではない
ぼくはKと結婚した
猫と結婚したわけではなく
Kはぼくになつかなかった
自分勝手だった
気まぐれだった
じぶんに正直だった
と言いなおしてもよいのだがふりまわされた
離婚は
だれの目にも時間の問題と思われた
恋人のままでいたかったのにと言われて離婚した
Kの母親との二世帯住宅を建
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