ぼくは帰る / ****同/小野 一縷
 


僕が火傷をした子供の頃
母さんは泣いてばかりいて ばあちゃんにきつく接するようになった
父さんは酒を飲むようになって 母さんと喧嘩ばかりしていた
じいちゃんは無口になって そのまま死んでしまった
だけれど
ばあちゃんは変わらず ずっと優しい
それは今も変わらない

僕が家を出ていってから
兄さんが馬鹿なことをして離婚した
父さんは兄さんに怒った
父さんは母さんにも怒った
父さんは僕には何も言わない
父さんも僕も意地っ張りだから
何も言わないし 何も聞かない

僕はここで一人随分歳をとった
僕は全く立派にならなかった
何も頑張らなかったので 当たり前だ

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