蛍/ダーザイン
 
海岸草原のみどり
はまなすの赤
萌たつ草の焔の中に
風露草のうすもも色

原生花園をぬけると
落ちていくように
空がりょううでを広げて
濃紺の海がひろがっている

道東の海は冷たくて
泳ぐ人は誰もいない

でも今日は暖かなひざし
透明なひかりがせかいを照らし
やさしい風がふいている

波打ち際には丸くて平らな石
灰色に濡れた線が
海と砂浜の間を地平線までうねっている

靴を脱ぎ捨てた彼女が
波打ち際で
水とたわむれる

打ち寄せては返る
巨大な鉛色のかたまりも
彼女の足もとにくると
やさしい静かな泡になる

カモメ
カモメ
ときどき凧
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