共感と励ましを詩にしていた頃/深水遊脚
 
手を見ていない、自分自身への慰めだったり鼓舞だったりする、そのことは確かです。的外れな共感で人にある倫理観を押し付けようとすれば、モラルハラスメントということになるでしょう。彼の厳しい指導は決して誉められたものではありません。この散文でことさらに彼を賞賛するつもりはありません。それでも、相手を強く思うこと、強烈に何かを伝えようとすることもまた言葉を発する動機になります。それは根源的な動機に近いものだと思います。発せられた言葉を理解するために、自分についたいろいろなものを一時的にどこかによけて、言葉を言葉として受け取ることも、言葉を発する動機をみつめることも、時には必要なのでしょう。彼を亡くしたいま
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