故 中川路良和 詩作品より/まどろむ海月
 
 以下、私の友人である故中川路良和君の処女作品集でもある『頭變木』所収の全詩篇です。
 初対面より間もないころ、人には見せたことがないのだが、と中高生時代に書き溜めた作品をなぜかひそかに読ませてくれたとき、彼は十九歳でした。わずかに方言も混ざって、その素朴で繊細で素直に表現された少年の心に、思わず涙したことを覚えています。
 久しく行方不明になったままでしたが、数年前に発見されたとき、それは放浪の果ての路上死という哀しい姿であったと聞きました。
 鬱になりそうな心を振り絞って再読し、何とか他の作品も発見できないかと手を尽くしてはみたのですが、どうやらあきらめざるを得ないらしいことも、やっと分
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