わたしのこころはサーモンピンク/佐々宝砂
 
手のバカ野郎は
深紅の旗を掲げているようなやつで
おまえの思想は濁っている
と批判しやがるので

わたしはかるくあかるく
心のなかでうそぶくのが常だった
そう
「わたしのこころはサーモンピンク」


という青い(んだか赤いんだかの)時代もすぎて
わたしはひとり
窓から半月をながめる
数十年後にわたしがまだ生きているとして
窓から半月をながめるだけの余裕があるとして

そのときやっぱりわたしは
静かにうそぶいてみよう

「わたしのこころはサーモンピンク」



2009.7.14

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