『早春の夕』/
あおい満月
薄暗い蛍光灯の下
酌み交わされる連夜
求める度に沈んでいくアルミ缶の蓋の底は
小さな深い闇
時折、
淡い春風が吹いても
そこだけが時が止まっている
空の缶と空のグラス
窓越しに冷たい小雨が燃えている
ラジオから流れる
若いテレサが虚しさを包む温かさに
部屋の隅で一人涙する
何もないことを求めたのに
何もなくなると少し寂しい
冬の終わり
早春の夕に
平成二十三年二月十一日(金)
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