針葉樹/
非在の虹
朝でも 昼でも 夜でもない
永遠に続く 冬の黄ばんだ夕暮れ
狂おしい町の風景
射光の跡を追う
強いコントラストに
明らかな形の針葉樹
見覚えのない風景の中の一本の木
だが木を木として網膜は刻まない
あなたは夢の中を歩いているのではない
あなたの町を歩いているのだ
あなたを生み
今あなたが死んでゆく
その町
その風のにおいに
一本の針葉樹が立つ!
暮れなずんでゆく樹影に追われる
あなたは夕闇に噛まれる
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