針葉樹/非在の虹
 
朝でも 昼でも 夜でもない

永遠に続く 冬の黄ばんだ夕暮れ

狂おしい町の風景



射光の跡を追う

強いコントラストに



明らかな形の針葉樹

見覚えのない風景の中の一本の木



だが木を木として網膜は刻まない

あなたは夢の中を歩いているのではない



あなたの町を歩いているのだ

あなたを生み

今あなたが死んでゆく

その町

その風のにおいに

一本の針葉樹が立つ!

暮れなずんでゆく樹影に追われる

あなたは夕闇に噛まれる
戻る   Point(4)