その晴れない空に/中山 マキ
 




蹴り上げて時間が回っても
世界が始まるリズムしか
いつも聞こえやしないから
戦争が始まる前日は
どんな色をしていたかなんて
誰も気にも留めずに

今思うことを明日も思ったら
それが真実というんだって
あなたが教えてくれた上等な嘘を
平和だった昨日に脱ぎ捨てた上着が
まるでアヒルの口のように笑っている

分からないんだよ結局
知りながら年を取っていくけど
毎日頭を下げながら
殺されていく言葉と言葉を
縫った針を飲まないように
必死になっているから
いつの間にか日は暮れていく

だから僕は目の前にある
この大きな穴に身を隠すんだ
そして大き
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