忠犬のように /服部 剛
 
初めて君とデートした 
神保町の「さぼうる」で 
向かいの空席に 
あの日の君の笑顔の輪郭を浮かべ 

「この店では、夢を売っています・・・」 
と呟く老マスターの置いた珈琲を啜りながら 
徒然なるまま、ノートにペンを走らせる 

この詩を書き終えたら 
赤煉瓦の壁に洋鐙の顔が灯る 
店を出て地下へ下り、半蔵門線に乗って 
仕事帰りの君を迎えに、地上へ上ろう 
待ち合わせのハチ公前に向かって 







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