高級弁当という収穫/光井 新
目の前には、豪華な食事が食べきれない程並んでいた。けれども、それらを存分に味わう事など、私にはできなかった。今この場でどんなに腹を膨らませようと、明日になればまた腹が減る。そんな風に考えてしまっては、寿司や天婦羅や賽子ステーキの味も、明日の食事の心配に打ち消されてしまっていた。
その不安を、表情や態度に出さぬよう私は心掛けた心算であった。が、M氏には、恐らく不自然な振る舞いに思えたのであろう。見兼ねて、「遠慮しないでくださいね」と優しい声を掛けてくれたのであった。
赤面せずにはいられなかった。自分という小さな人間を物差しにして、勝手に他人を計っては、他人もまた、自分と同じ様に小さな人間な
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