昔むかし浦島は/……とある蛙
 
丹波 余社郡(よさのこおり)管川(つつかわ)の人
瑞の江の浦の島子は
釣り上げた亀を妻にして
蓬莱山へ出かけたみたが※1
絵にも描けないいやらしさ。

魚比目之興、鸞同心之遊

タイやヒラメの舞踊り
それらすべては
閨房秘技の型だったとは

しているときの
時間の停止
二人の世界の
時間よ止まれ
そのまま常世(とこよ)の時は過ぎる

あないやらしや
恋愛SF小説
浦島子伝

玉手箱には魂が
そのまま空に拡散し
抜け殻島子は
白骨死体

時間と愛の物語
伊預部馬養(いよべのうまかい)※2
丹波国 宰(みこともち)※3
時代が生んだ教養人
人口に繪炙した
男の密かな楽しみが
文明開化で童話になる。

※1 日本書紀では 雄略二二年七月条 
※2 丹波国風土記 逸文 伊預部馬養(いよべのうまかい)懐風藻 神仙思想を基礎に した漢詩を書いたと言われています。
※3 国司のこと

なお、万葉集?高橋連虫麻呂の長歌「水の江の浦の島子を詠める一首」等がありかなり昔からポピュラーな話。
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