<閑 話 休 題> 4 NHさんの訃報に接して /るか
、愛と平和
のイデオロギーだと思っていたよ。そんな事件を起こ
すなんて、どうなってるの?」わたしは尋ねた。
「んー、マルクス主義は愛と平和のイデオロギーだ
よ。亡くなったNHさんの胸中にも、愛と平和の情熱が
漲っていたであろうことを、わたしはとりたてて疑お
うとは思わない。」そういって、こうしん君はコーヒ
ーを口に運ぶ。長い冬も終わりに近付いている。空気
に少しだけ春の匂いが、している。
「愛と平和を追求した結果が、武装闘争路線であり、
仲間へのリンチだったということ。これが思想という
ものの恐ろしさですね。哀しさでもある。だが、そん
なふうに人を生かしもすれば殺しもす
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)