春とハムスターと恥/光井 新
するんだよ。一人でお風呂に入る時は、必ず洗うようにしている。
君と一緒にいると僕は駄目になる。お互いの身体を荒いっこしてたんだから、君に、洗って欲しい、とちゃんと言えばよかった。でも恥ずかしくて言えなかった。僕が君の身体を洗っていた時も、実を言うと、あれは僕の中ではかなり雑に洗っていたんだ。僕は自分の身体を洗う時は、あの何倍もゴシゴシ擦らないと、汚いと思ってしまう人間なんだ。つまり、自分で洗っておいて、君の事を汚ない女だと思っていたんだ。恥ずかしいよ。君が僕の身体をあまり擦らないものだから、僕が君の身体を念入りに擦るのは恥ずかしいと思っていた。
笑えるだろ。そして、当分逢いたくないと思うだろ。
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