春とハムスターと恥/光井 新
 
君が僕の事を信じられないと言って怒っていた秋の夕暮れも、君が逢いたいと言って泣きながら電話をしてきた冬の夜も、春になれば、二人の悲しかった恋愛の思い出全てが報われる。
 東大生の自分を不器用だなんて言うのは変かもしれないけれど、僕は本当に不器用な人間で、ママとパパに内緒で僕の部屋にゲージをこっそり置いたり、アルバイトをしてアパートを借りてそこで飼ったり、そういう別の方法は何もできなかった。ただ、独り暮らしを、納得させるというか、応援してもらえる、そんな国立大學を受験するという事位しか実行できなかったんだ。それた事一つできずに、ずっと勉強ばかりしていて、つまらない思いをさせたね、ごめんね。
 東
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