菫(すみれ)/
蒲生万寿
私の部屋にスミレが咲く
不本意な場所で時季外れのスミレが咲く
その限られた土の小さな鉢の中
踏み躙られようとも
暑さ寒さに打たれようとも
大地の上が望ましいだろう
しかし、このすっくと立てる姿はどうだ
場所を選ばぬ力強さよ
光を目一杯受ける葉の緑
天目指し伸びた茎
俯き加減の可憐な花
「私は自由である」
と言葉も無く示す
私の小さな世界が
スミレに一蹴される
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