無題/モリー
私は時々、こう考える。私以外の人間は存在せず、現実は全て私の夢で、その私はまだ生まれてさえいないのではないかと。
また、こうも思う。宇宙全体が本当はバスケットボールくらいの球で、アメリカ人の子供がいくつも<宇宙>をもっていてそれら同士をぶつけて遊んでいる。
二つの感覚は時に私を興奮させ、時に混乱させる。
『マトリックス』を初めて見たとき強い衝撃を受けた。まるで私の妄想を脚色し映像化しているように思えたからだ。まだ幼かった私は、「飼われている」という新しい発想が恐ろしくて堪らず世界の歪みを必死に探したりした。
中学生の頃、私は宇宙のことについて度々友人と生徒会室で話し込ん
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