朝/光井 新
 
いた。
 嗚呼、朝がこんなにも美しいなんて――私は今朝を迎える迄、一度足りとも、朝と云う物を美しいと思った事など無かった――何故今まで気が付かなかったのだろう? 世界はこんなにも輝いているではないか……
 何気無く宙を漂う塵でさえ光の粒と成って、フェルメールの絵画に見る様な美を演出している。とは云ってみても、愛する人と結ばれたこの部屋の、埃っぽさを正当化しようとしている、などと思えない事もない――もしかしたら、この世界を正当化しようとしているのかもしれない。
(私は、自己を肯定し始めたのかもしれない)
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