「荒地」を読むための諸前提 1/るか
 
の脱出、滅びへの抗議は、僕達にとって自己の運命に対す
 る反逆的意志であり、生存証明でもある」
 「僕達が共通に抱いている絶望の本質は、光を求める虚空の手ではな
 いのか。」

 彼らの詩と姿勢を囲繞する絶望的な雰囲気の直接的な根拠が、第二次
世界大戦、という人類未曾有の出来事に端を発する時代的なものにある
ことは、見るに容易い。もし敗戦という時代背景、瓦礫の山と化した都
市という故郷において、花や星やの美しさを愛でる詩だけが詩として好
まれていたとしたら、どうでしょうか。そういう詩も僅かながらでも粛
々と書かれていたには違いないのだし、それは詩人のひとつの強靭さを
示すとも
[次のページ]
戻る   Point(7)