ひかりのや/……とある蛙
碧い海に円く赤い太陽が輝き
青い空には白い波頭が遠望できる
赤い雲のたなびく先には
山の端が曖昧な稜線を見せて消えて行く
樹木は影しか形成せず
息づく季節はすでに過ぎてていた
夜
闇と獣の遠吠え
猛禽類の嘶きと
小動物の恐怖
天空には黒い月
地上には夜行性小動物の
目の輝き
夜の経過
明るくなるはずの未明の時間
突然光の矢が山端から拡散し
日常への回帰を伴う日捲り(ひめくり)の指
山裾は次第に薄明かりに晴れて
朝の訪れに鳥が囀(さえず)る
新しい何かを求めるわけではないが
森の木々は朝露を含んだ緑に覆われ
森との間の赤茶けた道は延々と続く
光の矢の一端が目眩ましになって
全て白色に発光した雲海上の出来事のように
すべての過去を拡散させる
つまり再生の時だ。
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