無題 /
服部 剛
ほんとうに美しい音楽は
自らを主張せずに
日常を漂う
作曲家が世を去って久しい
遠い異国のカフェで
頬杖をつき
もの思う私の胸に
ふっと、灯はともる
瞳を閉じれば
霞のかかる向こうから
昔から知る人の瞳が
私をみつめ
こちらへと、歩いて来る
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