御作品/鵜飼千代子
 
なって、10年くらい経つが、「御詩集」「御作」という言葉は何度もかけていただいたし、わたしも学んで使っているが、「御作品」は使えない。以前、こうした一連の言葉は、ザーマスババーが使う言葉だと、僻み根性が金ラメを着ているような誰かが言っていたが、出生に関わらず、詩における学び舎の習いで違う言語を用いているのではないかというひとつの仮説を立てた。

 それより、「御作品」という言葉を口にする人については、「詩を何かのツールとして捉えているのか」「詩ではなく、主に作品を作る別のフィールドを持っている人なのか」ということも含め、気をつけるようにしている。相手の詩を読んだこともないのに詩人同士の共通理解をベースに話を弾ませると、面倒なことになることも考えられるからだ。
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