ガロア群へようこそ/Giton
 
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あどけない顔の長躯の青年が扉を開けた
「アルゲブリアへようこそ」
肖像画で見馴れた下町(シテ)の不良児がそこにいた
違うのは一糸纏わぬ背に大振りの翼をふたつ
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つけていることだけだ見ればぼくも裸
になっていた現つの世から身体以外のもの
はこちらに持ち込めないらしい
「これが体(コルプス)というものだ」
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背に翼持つ青年は手短かに言うとぼくの手を取
って寒天のように透き通った媒質のなかへと進み
出た眼路の限りの空間に無数の泡粒が浮き沈み
していた大きい粒もあれば小さい粒もある
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赤や黄色の目ばゆい光条が空間のあちこちで巨大
な三
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