永遠に溶けない雪/結城 森士
 
確かなものなど何一つない
自我の拠り所も、頼るべきものや力もなく
浮き草のように水にゆれ動く精神のまま
ぼくらは愛し合っているふりをしていた

冬の日に雪となり、ひとつの場所に留まり続けても
やがて春が来て、再び水になってしまえば廻り続けるしかない
この場所には、永遠というものは存在しない
溶けない雪などないのだ

ずっと愛してるよ、と答えた
きみがそう言って欲しそうにしていたから
存在しないはずの永遠を約束した

きみは確かなものを求める
でも、言葉なんて道具に過ぎない
だから欺き続けたんだ
言葉以外での愛なんて知らないんだから



小さな子供が、雪だ
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