僕のAngelは枠組みを越える/結城 森士
僕はあなたの涙が塩辛いと知っている
だが、本当に空の上には砂漠が広がっているんだろうか?
リズムが感情を無に返すことを知っている
空は黄色いというのにあなたがキスを求めたから
指先から細い糸が流れ落ちてアスファルトに流れる
地表にひび割れが走っている
僕らはもうダメだ
彼女は何も知らない
僕は人間の皮をかぶってきみにキスをした
五線譜の電線がメロディーを刻む
何も知らないと言う
誰も彼もなにも知らないんだから
あのアスファルトがスクリーンの白に光を奪われる頃
僕らは気づく
この世界はスクリーンに映し出された虚像で
僕らは枠組みに支配されているだけ
彼女の涙は無味だ
あの日見ていた空すら
ひどく乾いて、遠くに感じられる
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