帰路/モリー
こんなに悲しい帰り道が
蛇行しながら現実までのびている
黒く長いそれを
私は切なくなりながら
ひたすら歩く
歩く
白銀の丘陵に連れていってくれた
未完成な公園に踏み固められ出来た小道が一本
彼と埋もれながら清い大気を感じた
転ぶ私を助けはしないが
彼の語尾は心地よかった
いつだって私には
道がちゃんと与えられていると
彼は見透かすし
私の不安も上手に汲み取る
またいつか、と彼は笑った
この道に果てはあるだろうか
山に入る手前で私達はUターンしたけれど
きっとそんな甘くないんでしょう?
届かなくてもいいなんてプレッシャーはいらない
だんだんと、彼から遠ざかっていく
雪道に在った二人の影は
夢の色を濃くしていく
百歩目で小言を吐いた
「抱きしめたかったな」
帰路の中途で私は
一つの人間になって
彼を愛した
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